あらすじ
CIA元職員のエドワード・ジョセフ・スノーデンの実話を元にした衝撃の映画。2013年6月、イギリスのガーディアン紙が報じたアメリカ合衆国が数年に渡り続けてきた国際盗聴監視プログラム”エピックシェルター”などの違法システムが告発された。国家安全保障局職員だった彼がなぜこのような告発に至ったのか、華やかな生活を捨ててまですべきこととはなんなのか。アメリカ合衆国の行きすぎた捜査とテロリスト以外にも及んでいた危険とはなんなのか。徐々に明らかになっていくアメリカの危険性を描き出す。
本作の評価は?
スパイモノが好きな方にはぴったり!ただ、この事件で何が変わったのかと言われるとわからないことの方が多い。そういう意味ではもっと違った方法があるのではないかと考えてしまう。
おもしろポイント!
本作の中ではさまざまなところに面白い話題が出てきます!その中でも面白いと思える話題をピックアップ!
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19.11事件について
本作の時代は2004〜2013の実話ということで、9.11テロから数年の時代。この時代はまだブッシュ大統領が権力を握っていた時代です。スノーデンがCIAに入ってすぐに配属されたザ・ヒルで9.11テロの話がされています。コーヴィン・ホグライアンが「あれは私たちの責任だった」との話があります。ですが本当にそうでしょうか?「9.11 ジョージ・W・ブッシュ 空白の9時間」というドキュメンタリーの中では、シークレットサービスが以前からテロの可能性を伝えていたのに大統領が聞かなかったとの表現もあります。どちらも実際の出来事なので、本当のことはどちらなのかわかりませんが、どちらにせよ全てはブッシュ大統領の危機管理のなさが招いたことに思えてしまいます。
また本作では数多くの場所で、ブッシュの話やオバマの話が出てきます。スノーデンと彼女であるリンゼイ・ミルズがブッシュを応援するかどうかという話で揉めているあたりはなんだかほのぼのしていてにやけてしまいました。
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2エニグマ
こちらもザ・ヒルでの話ですが、エニグマの話がちょこっとだけ出てきます。エニグマは第二次世界大戦中にナチスドイツが使用した暗号機で、当時は最高傑作の品でした。これについては「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」という実話映画で詳しく解説されています。この映画を知っている者からすると「あ〜エニグマね!」という気持ちで面白かったです。さらには他の暗号機まで出てくる始末で、他の暗号機についても詳しく知りたくなってしまいました。
本編解説(ネタバレあり)
本作は所々に難解な言葉が入ってくるので、全体像を掴むだけでやっとという印象があります。細かい言葉まで覚えていることができないというくらい情報量が多いです。なので、今回は本編のサポート的な語句解説と作品についての感想になります!
ザ・ヒル
CIAに入ったスノーデンが最初に向かった軍事施設ですが、場所は公表されていないようです。アメリカのとある場所にはあるようですが今もあるのかは確認できていません。
FISA裁判所
外国情報監視法というアメリカ合衆国内で通用する法律をもとに、さまざまな捜査権限を発行する機関です。捜査の対象となり得るのはアメリカ合衆国内でスパイ行為もしくはテロ活動を目論むものとのことですが、実態が掴めていないことから、アメリカ合衆国国民のプライバシーが脅かされるのではないかとされています。
本作では、FISAの承認を受けるには適当なことを書けば申請が通るとされていることから、当時は誰でも捜査の対象になり得たのでしょう。対象者の通話相手が50人いればいれば第4階層時点で250万人が捜査の対象になり、秘密裁判所は通知なしに逮捕できることなどを考慮すると違法に逮捕された方も多いのではないかと感じてしまいますね。
スパイ活動法違反
現在のスノーデンはモスクワで余生を過ごしているようですが、スパイ活動法違反とはどうなるのでしょうか。アメリカ政府はスパイ行為・窃盗・国有財産の横領でスノーデンを告訴しています。もし仮に捕まった場合は、死刑や終身刑が待っています。スノーデンの場合はニュルンブルク諸原則とは違い、実際に情報を漏洩してしまっているのでこの点に関しては仕方ないとしか言いようがないですね。
ニュルンべルク裁判
本編中盤で出てくる言葉です。聞き慣れない言葉です。第二次世界大戦においてドイツによって行われた戦争犯罪を裁く国際軍事裁判で、戦勝した連合国側が敗戦した同盟国側の軍人を裁いているのが特徴です。ここから、ニュルンベルク諸原則という、業務であっても違法であれば処罰されるという原則ができました。
プリズム
自動収集ソフトでネット上の99%を除くことができます。Googleと違うところは秘匿性の高いSNS、いわゆるダークウェブも覗ける点です。これらの秘匿性SNSはプライバシーレベルの高い情報がたくさんあります。そのような情報を知る得ることで世界中のプライバシーが危険に晒されることとなります。
エックスキースコア
今の映像もわかるシステムで、カメラと音声を自動的にONにできる特徴があります。FISA裁判所の令状もなしに勝手に検索可能で理由は適当にでっち上げればいいことから、世界を除くことが可能になります。さらには、一人青絞れば義理兄弟の子供以上まで追跡可能で不法滞在していることまで検索できることから、スパイ活動にはうってつけの代物ですね。作中では、自分たちの都合で人に人生を潰して、情報だけを持っていくシーンがあります。本当にそんなことをしていたのだと思うと許せない気持ちが沸々と込み上げてきます。このことでスノーデンはCIAを辞めることになります。
エピックシェルター
スノーデンが開発したシステムで、空爆されてもデータは焼き尽くされないシステムです。支部が焼かれてもデータが残ることで世界一の情報網を構築することができことから、NSAの副長官命令でバックアップではなく本格始動することになります。スノーデンは、瞬時に情報を集めてウェブでも閲覧できる情報ポータルのような役割を期待していたようですがうまくいかなかったようです。さらには最終的に、エピックシェルターが人を殺す脅威になり、SIMからも追跡して爆撃できるようになってしまいました。これにはスノーデンもさぞ悩んだことでしょう。当初は情報活動の支援システムだったはずが殺しの道具に代わってしまったのですから。
世界の監視
日本では個人の監視をするのは違法です。ですがアメリカ合衆国によって秘密裏にマルウェアを仕込まれ、その後実行的なインフラも監視されていた事実が告発されています。送電網、ダム、病院などの主要インフラを監視し、アメリカの同盟国でなくなった場合にすぐにインフラを停止させ滅亡させることが目的だったようです。恐ろしいですね。もしそうなった場合、当時の日本の技術力では太刀打ちできなかったでしょう。さらにはドイツ・ブラジル・メキシコ・オーストリアなども監視の対象となりアメリカが世界の派遣と権力の保持できるように仕組まれていたようです。
当時のスノーデンの仕事は毎日アメリカ人の記録を傍受するのが仕事で悪党ではなく一般の人も傍受し、
考察・感想
本作は実際の事件をもとに構築されているだけあって、終始臨場感があり面白い作品です。最初から最後まで情報量多くてお腹いっぱいになってしまいますが....(笑)。それにしてもスノーデンはなんでこんなことをしたのでしょうか?本人は「世界にアメリカが行っている危険性を伝えるため」とのことを述べていますが本当にやる意味はあったのでしょうか?確かにスノーデンがしたことは世界に影響を与えましたし、明るみになったことでアメリカの残忍さが露わになったも事実です。ですが、それは本当に意味があるのでしょうか?今や世界では各国のスパイが活動していますが、そのほとんどが違法な方法で情報を収集したり、違法なことをしています。スノーデンがしたことで世界が変わったと感じることができますか?
今もNSAが違法な盗聴をしていたら?それを知るすべは?誰が罰せられる?誰が告発する?
わからないことだらけです。何度も言いますがスノーデンは偉大です。ですが、この事実を受け止め改善できる国はそう多くないでしょう。
本作は作品としては面白いですし、この事件の裏側がこうなっていたんだと知ることができて面白いです。ですがこの事件のビフォーアフターには疑問が残ってしまいます。
ですが終盤の、チップをルービックキューブに入れて持ち出すシーンや、ガブリエルと別れるシーンで暗号を使っていたのにはロマンが溢れていました。実際に行われたことなのでしょうが、仲間と暗号で会話するとかかっこいいですよね!しかもX線検査を通さずにチップを持ち出すところなんかもかっこいいなと感じてしまいました。終始にわたり、現実離れしている世界観で面白かったです。
しかも最後の本人登場は熱いですね!生き様を知ってから見るスノーデン本人はかっこいいですね。
2013/06/05
Revealed: NSA collecting phone records of millions of Americans daily
暴露:NSAが米国民の通話記録を収集(英:ガーディアン紙
アメリカ合衆国は、マイクロソフト・Yahoo・Skype・Facebook・Google・Aol.・Youtube・Appleの内部に侵入し、写真・映像・メール・移動などの個人情報にアクセスし情報を集めていた
オバマ自身は世界の情報にはアクセスしていないと明言しているが実際にはアクセスしていることになる
2013/06/10
アメリカ政府はスパイ行為・窃盗・国有財産の横領でスノーデンを告訴
紆余曲折ありロシアで3年の住居家が降りる
2014/03/24
オバマがNSAによる大量のデータ収集を停止
2015/05/07
NSAに対して通話データ収集に違法判決を出す
2015/05/13
議会もNSAに反対
2015/06/02
オバマが米国自由法に署名ースノーデンは一生モスクワにいることが確定
2015/06/03
ガーディアン紙ーNSAによる監視を修正
2015/06/04
オバマが監視を拡大させた
キャスト
エドワード・スノーデン:ジョセフ・ゴードン=レビット
リンゼイ・ミルズ:シャイリーン・ウッドリー
ローラ・ボイトラス:メリッサ・レオ
グレン・グリーンウォルド:ザッカリー・クイント
イーウェン・マカスキル:トム・ウィルキンソン
トレバー・ジェイムズ:スコット・イーストウッド
コービン・オブライアン:リス・エバンス
ハンク・フォレスター:ニコラス・ケイジ
監督:オリバー・ストーン
原作:ルーク・ハーディング、アナトリー・クチェレナ
制作:モリッツ・ボーマン、フェルナンド・サリシン、フィリップ・シュルツ=ダイル
製作費:$40,000,000
興行収入:$37,300,000($-2,700,000)