あらすじ
主人公・ケイトは3人の子供がいるシングルマザー。看護師を目指しながら毎日ピザ屋の仕事、清掃屋などの仕事で苦労の連続。ある日、クルーズ船の清掃を頼まれたケイトはレオナルドと出会う。レオナルドは世界有数のお金持ちで、次期社長になることが約束されていた。でも性格は最悪で、ケイトを理不尽な理由で解雇し給料も支払わない始末。その後、レオナルドは航海中のクルーズ船から落ちてしまい記憶喪失に。そこで、ケイトはなんとか給料を取り戻そうと画策し、なんとか自分たちが夫婦であることを認めさせることに。最初はぎこちなかった5人の共同生活も、レオナルドが仕事を始めたことで少しづついい方向に。でも、嘘で始まった生活に本当の愛はあるのか。
本作で特に目立つのはレオナルドが最低な人物であること。世界有数のお金持ちだからこそこのような性格なのかもしれないが、こんな人間好きにはなれない。はっきり言って人間のクズ。料理がつまらないからコックをクビにしたり、清掃員のケイトが果物を持ってこないからクビにしたり.....本当に最低な人間であることは間違いない。
そんなレオナルドも記憶喪失になって少しは変わるのか?と思ったらそれは違ったようだ。ナースが不細工だから変えて欲しいとか、妻がこんな女な訳がないとか本当に最悪。この男のことを本気で嫌いになりそうだが、そんなレオナルドも次第に心変わりしていく。ケイトのことを気遣ったり、子供のことを本気で気遣ったり......なんだ意外といいやつじゃんと思ったのも束の間。お決まり展開ではあるがどんでん返しの結末になんだかほっこりさせられる。
キュンキュンポイント(ネタバレ)
エミリーをプールに連れて行ったときに、男が目当てだと考えたレオナルドはエミリーを無理矢理帰らそうとする。でも、エミリーが話していたのはゲイの友達であった。そのことを知ったレオナルドは遊んでくることを許可する。
このときのレオナルドはしっかりとお父さんらしい行動を見せている。自分の子供を守るためにしっかりと教育するところはカッコイイところだ。その上、子供の言い分をしっかりと聞いてその上で遊ぶことを許可するところは素晴らしい行動である。日本の親は基本的に「あれはだめ。これはだめ。」という教育が多い。そのため、なんでダメなのかを理解させる教育が薄くなっている。レオナルドのようにしっかりと言い分を聞いた上で判断し、何がダメなのかを理解させる教育を、親は実践しなければいけないと感じる。
終盤での出来事。未だ記憶喪失中のレオナルドとケイトたちがバーベキューをしている最中の出来事。おもむろに語り始めたレオナルド。そして、急にプロポーズを始めるレオナルド。この展開には少し驚いたが、レオナルドが本当の愛を見つけた瞬間で超キュンキュンするポイントになっている。途中途中で本当の家族ではないことを伝えるシーンや5人揃ってのサイクリングのシーンを見ているとなんとも言えないカタルシスがあった。
感想
本作・オーバーボードは1987年に製作された作品「潮風のいたずら」のリメイク映画になっている。元々は4人の息子だったり、靴箱職人だったりと若干の違いがある。また、本作の1番のポイントは労働者階級の女と上級民との恋がメインストーリーとなっている。日本でも超美人な女優が一般男性と結婚するニュースなどは盛り上がる。それは手の届かない存在との恋が身近にあるかもしれないという理想の象徴化である。本作は恋に苦手であっても頑張る勇気だったり、手の届かないような複雑な恋でも頑張れば実るということを表しているのだと感じる。
実際頑張っても報われないと感じた恋の方が、うまく行ったりもする。本作を見て、恋に前向きになってもらえたら幸いだと感じる。
キャスト
レオナルド・デ・ラ・モンテネグロ
世界有数のお金持ち。性格は難ありの問題人物。エウヘニオ・デルベス(日本語吹き替え:多田野曜平)
ケイト・サリヴァン
3人の子供がいるシングルマザー。レオナルドと共同生活するも....。アンナ・ファリス(吉田麻実)
監督:ロブ・グリーンバーグ
脚本:ロブ・グリーンバーグ、ボブ・フィッシャー、レスリー・ディクソン
原作:レスリー・ディクソン『潮風のいたずら』
製作:エウヘニオ・デルベス(レオナルド役)、ベンジャミン・オデル、ボブ・フィッシャー
製作費:$12,000,000
興行収入:$91,200,000