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〈ラスト・ウィッチハンター〉800年間生きる男の求めるものとは?

あらすじ

 人間と魔女が共存する世界。人知れず魔女は生き残っていた。主人公・コールダーは800年前に魔女王と対峙し死ぬことができない呪いをかけられた。以降、魔女ハンターとして邪悪な魔法を操る魔女を葬ってきた。そんな彼を支援するのが、斧と十字架団の神父。しかし36世神父のドーランが殺されたことで状況は一変する。ドーラン36世神父の殺しには魔女が関わっていることと裏があることが判明する。コールダーの運命と地球の将来はどうなってしまうのか......

 本作の主人公であるコールダーは800年もの間生きる魔女ハンターとして活躍する。魔女王と対峙した際にいっときは殺したかのように見えた。だが、コールダー自身も知らない謎が800年もの間隠されていた。その謎を解く鍵となるのが、魔女専門Barの店主・クロエ。彼女の特殊能力のおかげで真相に気づくことができるのだが、そうは簡単に話が終わらない。魔女王の復活を企むものとの常軌を逸したバトルが繰り広げられる。

見どころ

 本作は「ワイスピ」で有名な「ヴィン・ディーゼル」が主人公。ワイスピでは通称・ドム。本作の冒頭数分間は800年前の出来事が流れるのだが、その時のドムの姿は全く似ていない。むしろ誰という印象なので面白いところだ。そんな中でも一番目を見張るのが、ヴィンの運転しているアストン・マーティンだ。車種名まではわからないが、運転している様と乗り込む様子はどことなくワイスピを思い出してしまう。ヴィンといえばワイスピというイメージがついてしまっているので、今回のラスト・ウィッチハンターはその印象を脱却するための作品の一つなのかも知れない。

 作中は車が登場するシーンはほとんどなく、ヴィンが9割以上のシーンを占領している。そのことからもヴィン目線で話が展開するため、非常に話がわかりやすい。ただ、話自体は面白いのだが終盤の大どんでん返し直前までは少し物足りなさが感じられる。106分というやや長編物なので所々間延びしてしまうのはわかるのだが、もう少し伏線を増やしたりホラー要素を出してもいいのでないだろうか。ちなみに本作にホラー要素は一切ない。ただ、ハエが飛び回ったり害虫がたくさん出てくるので多少のグロさはある。

 本作は基本ヴィンがメインなのだが、ワイスピのような「俺についてこい!」という男のかっこよさというのは少し薄い。反対に女性に優しかったり、親友に優しいという点は変わらない。そのせいもあってか、最後のオチでは「なんとなく終わっちゃった」感が出ている。ここはもう少し「四苦八苦してなんとか勝てた」感が出て欲しいところだ。ただ、全体的に内容も面白く、シンプルなストーリーのため不快感を感じることなく楽しめる作品になっている。

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